あのロックスターはギターが弾けなかった(ネタばれ)

はるばる行ったかいがあったありました。



まずは印象に残ったセリフから

マスター(石橋)「あのロックスターはギターが弾けなかったんだよ。そんなもんなんだ。」

カズヤ(白井)「曲書きなよ。告白しなくていいからさ。そうじゃないと人を好きなったユウスケの気持ちが可哀想だよ。成仏させてあげないと。」

客引き(ハローケイスケ)「まだ知らないことだったり、わからないことは希望やわくわく感が満ち溢れてる。なんでもありなんだ。自由なんだよ」

ひばり(田中涼子)「なんでもやってみなよ。」

クリハラ(菊地)「僕にだって欲はあるよ。金が欲しい、女の子にモテたい。でもそれを音楽に利用しようと思わない。僕は音楽が好きだから。」

まず全体的な感想として人の痛いところを突いてくる作品だな、と思いました。触れられたくない部分というか・・・。
でも、それがあるのが当たり前、あっていいんだ、と何かホッとできました。それが上のマスターのセリフでした。

叶わない恋もあっていい、と人は簡単にいいますが、本人にとっては綺麗事でしかない。でも本当にそうなのかも?!と思わせてくれたのが上のカズヤのセリフでした。説得力がありましたね。

「知ってる」が「知らない」よりも優位なわけじゃない。「知らない」ことがプラスに変わることがいっぱいある。だから焦らずに「知る」ことをしなくてもいい。そんな客引きのセリフ。なんでもやってみることが大事だと改めてわからせてくれたひばりのセリフ。好きなことに素直に打ち込むことは誇りに思うべきだ、というクリハラのセリフ。

心に打つ言葉多すぎて涙が思わずこぼれてしまいました。自分の高校時代を思い出しちゃいました。なにも打ち込んでない高校生活でした。でも、それでもいいんだと思う。楽しかった記憶もあるにはあるから。モテなくても、勉強が特別できなくても、部活で優勝しなくても、きちんとそこで3年間過ごした、ということで誇りに思っていいのでしょう。なんか舞台を見ながらそんなことを思ってしまいました。

人生は競争の連続です。そこで勝ち負けは絶対にある。それは否定できない。でも、人の人生それ自体は勝ち負けってないのかもね。最後にユウスケ(硲)の生歌聞いてそんなことを考えました。

脚本も素晴らしく、出演者の皆さまの素敵なお芝居で本当に行ってよかったなーと思いました。

ちなみに、公演時間は2時間ありました。やはりアドリブのせいでしょうか。白井さん大活躍です(笑)。
日替わりの場面が結構ありました。1回目と2回目続けてみたのでその違いも見れておもしろかったです。できればもう1日くらいみたいくらいです〜。

あらすじ

ユウスケ(硲)、カズヤ(白井)、クワタ(小川)は幼稚園からの友達で同じ高校に進学した。ユウスケはロックスターになるのが夢だったが、このままではさえない日々の連続だ、と危機感を覚えライブハウスのマスター(石橋)の店でバイトを始める。そこにはさわやかーな大学生のクリハラ(菊地)も働いていた。クリハラは音楽ライターを目指していたのだった。ある日、高校の担任?であるヤザワ(西木)からヒバリ(田中涼子)を紹介される。ヒバリはバンドをやっていたのだった。音楽にまっすぐなヒバリにユウスケは一目ぼれ。告白しようと、カズヤ、クワタ、を誘い3人でカラオケボックスで告白の作戦会議をする。

しかし、後日カズヤ、クワタはヒバリとクリハラが一緒に歩いているのを目撃してしまう。ヒバリとクリハラは付き合っていたのだった。それをユウスケに報告するカズヤとクワタ。ユウスケは落胆するが、ヒバリに恋した気持ちを曲にするのをカズヤに進められ、曲を書くことにしたユウスケ。しかし曲はなかなか書けなかった。そんなユウスケが一人で歩いていると、風俗の客引き(ハローケイスケ)と出会う。客が書けずいら立ってたユウスケに「何を書いてもいいんだ」とアドバイスする客引き。その言葉におされ、ユウスケは曲作りを再開し、とうとうステージに立つ。客席にはカズヤ、クワタ、マスター、客引き、そしてもちろんヒバリ、そしてクリハラもそこに招待していた。ライブ後、ユウスケはヒバリに気持ちが届いたかどうかわからないが、歌うことがすごい気持ちよかった、と語る。今日のライブを見ていたカズヤとクワタは音楽に興味を持ち、3人でバンドを組むことになったのだった。

そして月日は流れ、ロックスターになったユウスケは音楽雑誌のインタビューを受けていた。インタビュアーはクリハラ。


ユ「ヒバリはどうしてるんですか?」ク「あいつは全米ツアー中さ。」


脚本:吉田大悟(poison girl band) 演出:成島秀和(こゆび侍) 劇場監督:湊 裕美子
出演:イシバシハザマチーモンチョーチュウ、あわよくば、田中涼子、工藤史子